本文サンプル3
11歳/P19、20抜粋

nocturnal emission

              by千佐菜沙


  どうしよう。

どうすれば。

どうすんだってばよ!

 

 その日は珍しくより先に目覚ましを覚ました。

 さわやかな朝。

 しかし、うーんと背伸びをした瞬間、ナルトは自分の身に起きた異変に気がついた。

 何やら股間の辺りが冷たい。ズボンの中に手を差し伸べ、パンツに触れる中心が冷たく濡れていた。

「そんな馬鹿なー!」

 ナルトは愕然とし、頭を抱えた。

 頭の中は信じられない思いでいっぱいになる。

 もう一度、確認して……やはりそこが濡れていることにナルトは心底落ち込んだ。

「俺ってば……十一歳にもなって……

 おねしょをしてしまうなんて!

 昨日の夜、寝る前にそれほど水を飲んだだろうか?

 いや、それにしたって小さな子供でもあるまいし、トイレに行きたくなったら目が覚めるはずだ。

 だけど昨夜は良く眠っていた。

 幾つか夢を見た気はするが、内容は覚えていない。

「俺、俺

 ナルトはクシュっとシーツを握り締めた。

 情けなくて瞳に涙が滲み出す。

 こんなことが皆にバレたら……絶対馬鹿にされるに違いない! 

 特に……ナルトはクラスで一番女子に人気のある、いけ好かない奴の顔を思い浮かべた。 

 サスケには絶対知られたくない。

 知ったらきっと鼻で笑うに決まっている。

 クラスの誰も、先生達も認めてはくれないが、ナルトはサスケを自分のライバルだと思っていた。

 だってサスケは凄い奴だから。

 本人には絶対に言わないが、サスケの実力は誰が見ても郡を抜いている。

 先生達もきっと凄い忍者になるんだろうと言っていた。

 だから負けたくない。

 自分の夢を全うする為にはまずはサスケライバルになることが目標なのだ。

 サスケにはかなり鬱陶しがられていたがそんなものは関係ない。

 今の所は負けっぱなしだが、いつかは並んでやる。

 そして勝ってやるんだとナルトは心に決めていた。

「だけどこんなんじゃ……

 十一歳になってまだおねしょしてるなんて知られたら……一生ライバルになんてなれない気がする。

 落ち込むナルトに追い討ちを掛ける様に、昨日の夜セットしておいた目覚ましがけたたましい音を立てた。

 ナルトはビクッと体を跳ね上がらせた。

 それから慌てて目覚ましのスイッチを切る。

 静かなになった室内にナルトはハアッと息をついた。

「こうしちゃいられないってばよ……

 今日はずっと前から楽しみにしていた一泊移住に出かける日なのだ。

 二年に一度、この季節に行われる。

 目的は任務演習で、アカデミーを卒業後、里外での任務に備えるというもの。演習場所は峠を二つばかり越えた場所にある火の国

でさほど有名ではない穴場のキャンプ地で泊りがけで行う。

 どんな演習を行うのか詳しいことは聞かされていないが、ナルトはとても楽しみにしていた。

 荷物も昨日の夜にまとめてある。

 後は朝食を食べて身支度をするだけなのだが……窓を指しこむ明るい光とは対照的にナルトの心はどんよりと暗く重たかった。

 のろのろと布団を這い出し、ズボンを脱ぐ。

 と、その時、ナルトは「ん?」と首を傾けた。

 ズボンが思ったほど濡れていないのだ。

 もしかしてと掛け布団を剥いで、敷布団を確認する。

 そこには描かれているであろう地図はなかった。

 だけどパンツは濡れている。

 少量だったのだろうか?

 そう思いナルトはパンツを確認してギョッと目を見開いた。

「ここれってば……

 パンツを持つ手が震える。

 少量だが白く濁った滑りのある液体がパンツに付着していた。

 それは大人の階段を上り始めた証なのだがそのことをナルトは知らなかった。

 しばらくパンツを手に呆然としていたナルトだったが、集合時間が近いことに気づいて、慌てて身支度を整えた。

 とりあえず下着を洗って風呂場に干しておく。

 それから朝食代わりに牛乳を一気飲みして部屋を飛び出した。


サンプル4へ

BACK